お知らせ

2020 / 09 / 06  21:30

オスグッド病について

「オスグッド病」は、みなさん一度は耳にしたことがある膝下ではないでしょうか。
日常生活では困ることが少なく、成長期が過ぎると痛みがなくなるため成長痛として軽視されがちですが、対応を誤るとスポーツ選手では、競技力が低下したり、成長終了後も痛みが持続したりすることがあり、実は注意すべき疾患です。
正式にはオスグッド・シュラッター病(Osgood-Schlatter病)と呼ばれ、100年以上も昔に、アメリカ人放射線科医オスグッド氏とスイス人外科医シュラッター氏により同時期に発表されたことが由来です。
主な症状は、膝のお皿の下の少し骨が突出した部位(脛骨粗面)の痛みです。スポーツ活動を活発に行っている小児で、約7〜10%の発生率と報告されています。
幼少期の脛骨粗面部は全体が軟骨の状態です。11歳頃から中央部を起点に骨が形成されはじめ、14歳頃に全て骨に置換されます。この軟骨が骨に変化する時期に組織の強度が低下すると考えられ、スポーツ活動でストレスがかかりすぎると、脛骨粗面に亀裂(裂離骨折)が生じます。これがオスグッド病の正体です。
この疾患は進行性です。まず脛骨粗面部に炎症が生じ(Type 0)、その後、骨または軟骨に亀裂が発生します(Type 1 / 2)。さらに亀裂が拡大し、上方へ牽引され完全に分離してしまうと、脛骨粗面部は著しく変形してしまいます(Type 3)。亀裂が拡大すればするほど治療期間もかかり、終末期に至れば完全な治癒は望めません。練習がハードになると痛みでパフォーマンスが低下し、場合によっては手術が必要となるケースもあります。
短期間に後遺症なく治すためには、
①痛みを感じたらすぐに整形外科を受診する(早期発見)
②診断がついたら3〜4週程度は患部を安静にし、修復期間を確保する。特にジャンプやダッシュ、キックなどの動作を避ける(早期安静)
③スポーツ活動を休止している間に柔軟性の改善や体幹強化を行い、痛みがないことを確認しながら徐々に運動量を上げていく(再発予防)ことが大切です。
順調に経過すれば6〜8週間でスポーツ復帰が可能と考えます。
オスグッド病だけでなく、スポーツ障害は予防がとても大切です。日頃からストレッチや体幹トレーニングを継続する習慣を持ちましょう。
(長崎新聞 令和2年9月7日掲載)




当院でのOSD超音波分類.jpg

2020 / 09 / 06  11:25

オスグッド病の当院における傾向と治療成績

図4は超音波検査で継続して経過観察が可能であった24例32膝(男児20例26膝, 女児4例6膝)の治療成績の結果です(フォローアップ期間は平均242日).
治療成績に関しては, これからも症例数を増やし, 改めて報告する予定です.

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